韓国の将棋(チャンギ)をやったことはありますか?
韓国の将棋は韓国語で「チャンギ(장기)」と呼ばれ、日本の将棋と似ている部分も多いですが、実際にやってみると両者には結構な違いがあります。一言で韓国のチャンギは攻めながら勝つゲームで、日本の将棋のようにがちがちに守って勝つという要素はほとんどありません。
韓国の将棋は韓国語で「チャンギ(장기)」と呼ばれ、日本の将棋と似ている部分も多いですが、実際にやってみると両者には結構な違いがあります。一言で韓国のチャンギは攻めながら勝つゲームで、日本の将棋のようにがちがちに守って勝つという要素はほとんどありません。
今回の記事では、そんな韓国のチャンギというゲームの面白さやルールについて解説します。そして記事の最後には、チャンギからわかる日韓の文化の違いにも触れてみました。
韓国のチャンギって、どんなゲーム?
韓国語のチャンギ(장기)は、漢字で書けば「将棋」なので、日本の将棋と共通点は多いです。つまり盤上で駒をぶつけて2人で対戦するゲームです。そんなチャンギは、紀元前の古代インドで考案されたチャトランガが起源であるとも言われており、中国のシャンチー、日本の将棋と同様の起源のようです。
チャンギでは、対戦する2人が交代で、盤上にある自分の駒を動かして相手の駒を倒していき、最終的に相手の王様の駒(漢、楚)を倒した方が勝つという点では、日本の将棋と同じです。ただし日本の将棋とは、使用する「駒」とその動きが異なり、盤上での細かなゲームのルールにも違いがあります。
日本の将棋の駒は8種20枚であるのに対し、チャンギの駒は7種16枚で、ゲームの開始時には次のように駒を並べます。日本の将棋と似ていると言えば似ているし、違うと言えば違うように見えると思います。
日本の将棋の駒は8種20枚であるのに対し、チャンギの駒は7種16枚で、ゲームの開始時には次のように駒を並べます。日本の将棋と似ていると言えば似ているし、違うと言えば違うように見えると思います。

(原本へのリンク)
日本の将棋とのルール上の10の違いを紹介!
それでは、韓国のチャンギのルールを、日本の将棋のルールと比較しながら、以下、簡単に解説していきます。
- チャンギの駒は縦9本×横10本の線上に置かれる
- 取った相手の駒は再利用できない
- 相手陣に入っても駒の成り込みはできない
- 王将(漢または楚)の駒は常に宮中にいる
- チャンギの「歩(兵または卒)」は前か横に進める
- 飛車っぽい動きをする「車」と「包」が要の駒
- 桂馬がパワーアップしたような「馬」と「象」
- 金銀に代わる守備駒が「士」の駒
- 宮中でのみ斜めに進める駒がある
- 自分の手番をパスできる
1. チャンギの駒は縦9本×横10本の線上に置かれる
チャンギの盤には縦9本、横10本が描かれており、チャンギの駒は、囲碁の石のようにその縦横の線の交点に置かれます。
これに対し日本の将棋の駒は盤上の9×9のマスの上を動きますので、チャンギの駒の方が縦に1マス分だけ動ける範囲が多いことになります。
2. 取った相手の駒は再利用できない
日本の将棋では、相手の駒を取るとそれを自分の駒として再利用できますが、チャンギでは再利用できません。
その点では、チャンギは日本の将棋よりルールがシンプルで、ゲーム時間も短くなります。
3. 相手陣に入っても駒の成り込みはできない
日本の将棋は、自分の駒が相手陣に入ると、その駒を裏返して「成る」こと(「歩」が「と」に成るなど)でパワーアップします。
チャンギにはこうした「成り」のルールはありません。
4. 王将(漢または楚)の駒は常に宮中にいる
日本の将棋の王将の駒は、チャンギでは「漢」または「楚」という駒になります。その動きは、日本の王将の駒の動きと同じです(全方位1マス移動可)。
しかし、「漢」と「楚」は宮中である3×3の領域から外に出ることができません。韓国では王様は宮中にいるもののようです。

また、「漢」または「楚」の近くには、「士」という守備駒が2つ存在します。この2つの駒も、日本の王将の駒と同じ動きをし、また宮中から出ることはできません。
5. チャンギの「歩(兵または卒)」は前か横に進める
日本の将棋の歩の駒は、チャンギでは「兵」または「卒」という駒になります。その駒の動きは、1マス前進するか、または1マス左右に動くことができます。
つまり「兵」または「卒」は横に動ける一方、その駒の数は5つだけで、日本の歩が9つであるのに比べて少なくなっています。
6. 飛車っぽい動きをする「車」と「包」が要の駒
日本の飛車に相当する駒が「車」で、前後左右のいずれかの方向へ、複数マス行けるところまで動かことができます。
一方、「包」も似た動きをしますが、前後左右のいずれかの方向へ、自分の駒または敵の駒を1駒飛び越えてから動くという変わった動きをします。
7. 桂馬がパワーアップしたような「馬」と「象」
日本の桂馬は前方2か所に桂馬飛びする動きをしますが、チャンギの「馬」は前後左右方向への8か所に桂馬飛びする駒です。
一方、日本の将棋にはない駒が「象」。この駒は、前後左右のいずれかへ1マス進みながら、さらに斜め方向へ2マス進むという特殊な動きをします。
8. 金銀に代わる守備駒が「士」の駒
日本の金・銀・角に相当する駒はチャンギにはありません。
ただし、金・銀のような役割を「士」の駒が担っていると言えなくもありません。
9. 宮中でのみ斜めに進める駒がある
宮中の3×3の領域には斜めの線が書かれています。
「車」「包」「兵」「卒」という4つの駒は、この斜め方向に沿って動くこともできます。
10. 自分の手番をパスできる
チャンギでは、駒を動かさずに手番をパスすることもできます。
ただし、双方が連続してパスした場合は引き分けとなります。
その他、細かなゲームのルールもありますので、以下のリンクをご参考ください。
チャンギのルールから、日韓の文化の違いがわかる!?
もし日本の将棋をある程度やった方であれば、韓国のチャンギの戦術・戦法との違いがわかるかと思います。
私もチャンギをオンラインでやってみましたが、チャンギは守備よりも攻撃的な要素が強いように思いました。
日本の将棋のメジャーな戦術として、王将の駒を守るためにその周りに守備駒を多数配置する、やぐら囲い・美濃囲いといった囲い戦法があります。
この「囲い」というのは、長期戦に備えて籠城する、まさに日本の城のようなもの。つまり、日本の将棋には、多分に守備的な要素があります。
一方、韓国のチャンギでは、宮中に王様を守る「兵」「卒」という守備駒が2つあるだけで、それほど守備的な要素は多くないように思います。
チャンギにも「囲い」という戦術に代えて、自分の駒を所定の位置に配置する「布陣」というのがあるようですが、これは攻撃の要素がかなり加味されていると思います。
さらに、日本の将棋では穴熊囲いなんてのもあり、その囲いは、王将の駒が盤上の隅まで逃げて、その周りを他の駒が完全防御する戦法です。こんな戦法は、チャンギにはあり得ません。
そもそもチャンギでは、王様(漢または楚)が宮中から出ることができません。王様はどっしりと宮に居て、その中で、他の駒が布陣を敷いて、王を守りつつ相手を攻撃するわけです。
いかがでしたでしょうか。
日本の将棋をやったことのある方は、韓国のチャンギをやってみても面白いと思います。
幸いオンラインで無料でできますので。
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