韓国では、基本的に入学試験を受けることなく高校へと進学します。

しかし、高校の入学選抜方式は地域ごとに異なっており、高校の種類も一般高校、特殊目的高校、特性化高校、自立型私立・公立高校とあって、かなり複雑でわかりずらいです。

その複雑さは、韓国人自身にとっても、新しい制度が多く理解が難しいと言われるほどです。

そこで今回の記事では、子育てをする韓国在住者向けに、韓国の高校の入学選抜方法や高校の種類についてまとめてみました。


高校への進学率は?高校に進学しない人はいるの?


韓国の教育システムは、日本と同様、小学校6年、中学校3年、高校3年、大学4年という「6・3・3・4制」です。

その中で、小・中が義務教育となりますが、ほとんどの子供たちが高校へと進学するため、高校もほぼ義務教育と言って過言でないでしょう。

2019年の調査結果(e-国指標(韓国語))では、韓国の高校進学率は91.3%でした。

けれど、そんな韓国も、1980年代の半ば頃までは高校に入学しない人がかなりいたようです。それが1980年代末には、高校進学率が90%を超えるようになったといいます。

現在の韓国社会では、中卒の学歴で社会生活を送っていくのは難しい、というのが韓国人の一般の認識なのではないでしょうか。


入試をしない高校入学の選抜方式「標準化制度」とは?


韓国の多くの中学生は、高校入試を受けません。韓国が学歴社会だと聞いている方は、韓国に高校入試がないと聞くと、初めは意外に思われるかもしれません。

この高校入試を禁じている制度は「平準化制度(通称、뺑뺑이=くじ引き)」と言われ、かなり古くからある制度です。その制度は、ソウル市、首都圏の一部地域、すべての広域市、地方の一部都市に導入されています。

平準化制度とは、高校入学時の学校間の序列をなくし、小・中学校と同様の近距離高校の割り当てや、または抽選などの方式により、入学先の高校を強制的に割り当てる制度のことです。

この制度には、学生のレベルや能力を問わずに同等の教育を施すという意味があり、また、高校入学の過当競争を防ぐことも目的としているようです。もともと朴正煕大統領が、1970年代に導入した制度であったようです。

ただし、平準化制度にはやはり副作用もあり、過去には、学内成績1位の中学生が下位圏の一般高校に入ったり、最下位の中学生が名門高校に入学したりしたケースもあったのだといいます。

なお、「平準化制度」が適用されない大部分の地方中小都市や農村地域は、中学の内申成績や選抜試験、またはその混合方式によって、高校に入学することとなります。


韓国の高校の種類は5つ!複雑でわかりずらい!


韓国では、日本以上に大学進学率が高いので、将来、どの大学に進むかを考慮して進学先の高校を選ぶともいわれます。しかし、選ぶべき高校の種類がいろいろあって複雑で、ちょっと何が何だかわかりません。

基本的に大学進学のためには、普通高校である「一般高校」を選ぶ場合が多いと思いますが、それ以外の大学についても知っておいた方が良いでしょう。


一般高校(일반 고교)


日本でいう普通高校のことです。厳密には、特定分野ではない多様な分野にわたり一般的な教育を実施する高校をいうとされています。

一般高校のレベルは、名門校から下位圏の高校まで、ピンキリのようです。


特殊目的高校(특수목적 고교)


特殊分野の専門的な教育を目的とする高校のことで、一般的な科学高校や外国語高校として知られる高校がこれに該当します。略して特目高(특목고)とも言われます。

現在、全国に141の高校があり、次の系列の高校が含まれます(参考リンク(韓国語))。
  • 科学系
  • 外国語系・国際系(2025年に廃止。一般高校に転換予定)
  • 芸術系・体育系
  • 産業需要対応型(マイスター高校)

もともと「特殊目的高校」は、1973年の高校平準化政策の導入時に、その平準化対象外の高校とされたもので(ただし、当時は主に実業系高校)、別途の方式による入学選考と教育カリキュラムを実施するものとされた高校です。その後、時代が下るにつれ実業系でない系列の高校も、順次追加されていきました。

2010年には、産業需要対応型(マイスター高校)が追加されましたが、その範囲から漏れた他の実業系高校は次の「特性化高校」に転換されることとなりました。

なお、マイスター高校とは、専門的な職業教育の発展のために、産業界の需要に直接連携したカスタマイズ(맞춤형)された教育課程の運営を目的とする高校とされています。

「特殊目的高校」の入学のためには試験を受ける必要があり、一般的に、一流大学に進学するようなレベルの高い学生が志望するようです。


特性化高校(특성화 고교)


いわゆる実業(商業・工業)高校です。特定分野の人材と専門的な職業人を養成するために特性化された教育カリキュラムを運営する学校として、1998年から運営されています。現在、次の系列の高校があります(参考リンク(韓国語))。
  • 工業系
  • 農生命産業系
  • 商業・情報系
  • 水産・海運系
  • 家事・実業系

なお、特性化高校には「代案学校(Alternative school)」という学校も含まれ、それは正規の公教育の規定を脱して、自らの価値観に基づいて運営する小学・中学・高校一貫の学校のことです。特殊な学校ですので、それ以上の説明は省略します。


自律型私立高校(2025年廃止予定)


教育課程や学事運営などを自律的に行うことを認められている私立高校のことで、2010年、李明博大統領による高校多様化プロジェクトにより設置されました。略して自私高(자사고)ともいわれます。

政策的には高校平準化による教育の画一化の問題を解消することを目的としたものです。

入学のためには試験を受ける必要があります。

なお、2025年に廃止される予定(参考(韓国語))とのことです。

自律型公立高校(2025年廃止予定)


公立高校のうち、学校自らが独立の権限により自律的に、学校または教育カリキュラムを運営することができるように特別の指定を政府から受けた学校のことです。米国のチャータースクール(Charter School)制度を参考にして導入されたものです。

なお、2025年に廃止される予定とのことです。



いかがでしたでしょうか。

少し説明不足な点は、今後、もう少し加筆をしたいと思います。




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