(原本: オリンピック公園)

ソウルが夏季オリンピックの開催地に決定したのは、1981年のことでした。軍事政権であった全斗煥政権(1980年〜1988年)の時代のことです。ソウルは、名古屋と招致活動を戦い、1981年9月の決戦投票では52対27の大差で開催を勝ち取ったのでした。

しかし、1980年代前半の時代というのは、1980年のモスクワオリンピックでは西側諸国がボイコットし、1984年のロサンゼルスオリンピックでは東側諸国がボイコットしており、東西冷戦の対立構造が厳しさを増していました。その構造そのままに北朝鮮と対峙する韓国も、共産主義や社会主義との緊張関係の中にあったわけです。

開催決定後の韓国は、競技場の選定やスタジアムの建設などの準備が進められて行きました。そんな中で、オリンピックに東側諸国が参加することができるよう、1984年頃に北朝鮮との共同開催案も持ち上がったと言います。韓国のソウルでは、オリンピックのプレ大会の位置づけとして1986年のアジア競技大会も成功裏に開催されたものの、その大会には案の定、東側10カ国がボイコットしました。

さらに1987年11月には、ソウルオリンピックの韓国単独開催を妨害することを目的として、北朝鮮工作員の犯行による大韓航空機爆破事件が起こりました。そうした南北の緊張関係の中で、ソウルオリンピックには北朝鮮選手団は参加しませんでしたが、結果としてほとんどの東側諸国は参加するようになりました。

こうした国際関係の下、当時の韓国の軍事政権では、共産思想などへの言論統制や思想弾圧があったと言います。しかし、そんな時代も、ソウルオリンピックの開催決定に相まって国民による自由化の声が高まり、続く1987年の民主化によって大統領の直接選挙が実現し、韓国は大きな時代の転換点を迎えることになります。

当時の韓国では、世界が注目するオリンピック開催を控える中で国際的イベントも開かれており、民主化の雰囲気に連れてオリンピックへの国民の関心も高かったのだとと言います。そして、韓国政府の主導と国民の意識の高まりの中で官民一体となって、オリンピックの成功のために邁進した良き時代だったのでした。

競技場(ソウル市内)	種目	所在地
蚕室総合運動場	主競技場、陸上、 野球、水球　他	松坡区
オリンピック公園	水泳、体操、 自転車、テニス　他	松坡区
東大門運動場 (2008年撤去)	サッカー	中区
漢陽大学校体育館	バレー	城東区
セマウル体育館	バレー	江西区
奨忠体育館	柔道、テッコンドー	中区
ソウル大体育館	卓球、バトミントン	冠岳区
花郎アーチェリー場	アーチェリー	蘆原区
ロイヤルボウリングセンター (現ロイヤルスポーツセンター)	ボウリング	中浪区
テルン国際射撃場	射撃、近代五種	蘆原区

競技場(ソウル市外)	種目	所在地
渼沙里漕艇競技場	カヌー、ボート	河南市
国軍体育部隊	レスリング	城南市
城南総合運動場	ホッケー	城南市
水原室内体育館	ハンドボール	水原市
釜山ヨットセンター	ヨット	釜山市
ソウル乗馬公園	乗馬、近代五種	果川市
大田ハンバッ総合運動場　 光州無等競技場 大邱市民運動場 釜山九德運動場	サッカー	各市

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