日本の大学受験生は毎年1月に大学入学共通テスト(旧センター試験)を受けますが、韓国にもこれとよく似た「大学修学能力試験」があります。略して「修能(スヌン/수능)」と呼ばれています。
修能は通常11月半ばに行われ、この試験成績により各大学が入学生を選抜する方式を「定時募集」と言います。
今回の記事では、修能という試験概要やその受け方、そしてその試験結果による「定時募集」での大学入学選抜方式についてざっくり説明します。韓国の大学に一般進学する子供をお持ちの【韓国在住者】に役立つ情報です!!
【目次】
大学修学能力試験「修能(スヌン/수능)」と「定時募集」の概要
大学修学能力試験「修能(スヌン/수능)」は、韓国の大学入学のために全国の受験生が一斉に受ける共通試験(日本の「大学入学共通テスト」に相当)です。毎年11月中旬の木曜日という決まった日に、韓国の全国各地の試験会場で試験が行われます。この試験結果は翌月に発表され、その自分の試験成績を踏まえて受験生は、12月末頃、志望する大学への「定時募集」に応募することになります。
修能は、韓国で1994年に新たにスタートした大学入試制度に伴い導入されました。韓国の政府系機関である「韓国教育課程評価院」が、修能の問題作成から採点までを担っています。
現在でこそ、韓国の高校生の大多数や浪人生の一部は、高校の内申点や推薦点による入学生選抜方式である「随時募集」により進学していますが、修能の成績に基づいて、大学の「定時募集」の枠で進学をする者ももちろんいます。
学歴社会である韓国では、その大学進学の結果が、一生を左右するといわれます。このため、修能の試験当日には、遅刻しそうな受験生を送り届けるために、パトカーが出動することがあります。また、修能のヒアリング試験が実施される時間帯には、試験会場周辺のバスや列車は徐行運転、クラクションも禁止、飛行機は離着陸時間が調整されるといったこともあるそうです。
修能(スヌン)の受け方~願書の受付から試験当日まで~
【注意事項!】最新の受験情報については、韓国教育課程評価院の「大学修学能力試験」公式ホームページ(リンク)を参考にしてください。修能(スヌン)の願書受付
毎年8月後半頃に、修能の願書受付が行われます。受験希望者は、全国にある管轄試験地区の教育支援庁または高等学校に応試願書を提出することができます(参考:2023年度修能の願書受付案内)。この願書には、受ける試験領域と、選択科目も記載します。
修能(スヌン)の試験科目
以下の計6領域からなります。- 国語:共通科目+選択科目(2022年から)
- 数学:共通科目+選択科目(2022年から)
- 英語
- 韓国史
- 探求:社会/科学/職業から選択
- 第2外国語・漢文:第2外国語は、中国語、日本語、ドイツ語、フランス語、スペイン語、ロシア語、アラブ語、ベトナム語
修能(スヌン)の日程と会場
毎年11月中旬の木曜日。試験前日に、選択科目(探究領域、第2外国語)なども考慮して、試験会場が受験生に通知されます。前日、会場の下見に行く受験生も多くいます。
修能(スヌン)当日の時間割
試験開始は朝8:40からで、途中休憩や昼休みを挟みながら17:40まで試験は行なわれます。修能(スヌン)の試験結果
修能の試験結果は、試験日から3週間後以降、おおよそ12月10日頃に発表されます。受験生が受け取る成績通知書には、受験科目ごとに、以下の試験結果が書かれています。- 標準点数(표준점수):選択科目ごとの平均点を基準として、実際の得点を修正して相対化した点数
- 百分位(백분위):受験科目別に、受験生自身以下の得点を取った者のパーセンテージ(ちょど上位20%の得点だった受験者は、百分位で「80」)
- 等級(등급):点数に基づいて、受験生を成績別に9段階に区分したもの
修能の成績通知書(例示)
大学の「定時募集」への応募
修能(11月中旬)を受けた受験生は、試験後に自己採点をし、その結果に応じて志望する大学を予め定めて、2次試験(面接や小論文)などの準備に入ります。修能の成績により、定時募集で入ることのできる大学が変わるからです。そうこうしているうちに、12月10日頃に、修能の試験結果を受け取ることになります。ただし、韓国の大学入学制度を複雑にしているのは、多くの受験生たちが既に大学の随時募集(9月頃)に応募していることです。随時募集の合格発表は、12月半ば頃になります。そして受験生が随時募集に合格してしまうと、定時募集の志願資格を失うことになります(「随時拉致」についてはこちらの記事を参考)。
その後、12月末頃に、大学の定時募集の受付が行われます。随時募集に不合格になった受験生や、随時募集にそもそも応募していない浪人生などは、この時期に定時募集への応募します。
定時募集は、カ群、ナ群、タ群に属する大学から、それぞれ1つずつ、最大3校まで応募できる仕組みとなっています。3つの群のだいたいの傾向は、次のとおりです。同じ大学であっても、その中で群の区分が異なることもあります。
- カ群:内申が最も重視される
- ナ群:内申が60%程度だが、カ群に似ている
- タ群:修能100%反映。募集人数が少なく、変動要因が大きく、競争率が高くなる傾向
成績中上位の大学は、カ群かナ群のどちらかであるのが、ほとんどだそうです。なお、前回2022年の定時募集では、ソウル大はカ群からナ群に変更され、延世大と高麗大はナ群からカ群に変更されたとのことです。韓国ならではの独特な制度ですね。
大学での定時募集の入学生選考が行われると、2月頃にその合格発表が行われます。
参考
- ナムウィキ(韓国語)「定時(入試)」「大学修学能力試験」
- 韓国教育課程評価院の「大学修学能力試験」公式ホームページ(リンク)
- 世宗の声「受験試験1日前、試験場所により悲喜が分かれて(2020.12.2)」(リンク)
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