『イ・サン』は、李氏朝鮮後期の名君といわれる正祖(チョンジョ)の生涯を描いた長編大河ドラマです。

本来王位を継ぐ予定だった父親が不遇の死を遂げ、幼くして残されたイ・サンが王位に上るまでの宮廷での権力争いや、王になってからの人生を描いています。

以下では、本ドラマを観ようか迷っている方のために、本ドラマの内容や見どころ、ストーリー、そして主なキャストについて紹介をします。


이산


『イ・サン』はどんなドラマ?

『イ・サン(原題:이산)』は、韓国MBCで2010年9月から全77回にわたって放送された長編大河ドラマです(平均視聴率26.8%)。

イ・サン(漢字で「李祘」)は、李氏朝鮮第22代王(1752年~1800年)の本名で、王の死後につけられる諡(おくりな)では「正祖(チョンジョ/정조)」と呼ばれています。このドラマは、正祖の48年の生涯を描いたドラマでした。

劇中で正祖は、人格に優れ、武芸に優れ、知性にも優れたパーフェクトな人物のごとく描かれています。これに対し史実の正祖は、寝室にいる王を暗殺しに来た刺客を逆に待ち伏せして返り討ちにする、なんていう劇中での芸当はしなかったでしょうが、ドラマでこのように描かれるだけの王としての業績を残した人物でした。

史実での正祖は、前代王の英祖(ヨンジョ/영조)とともに、朝鮮王朝の文芸復興の王として知られています。その中でも正祖の時代は、宮廷にはびこる党派を是正し、身分を問わず優秀な人材を採用し、民の声に耳を傾け交流を好み、現実に役立つ技術などを重視した実学や、絵画のような芸術が花開いた時代といわれています。

しかし、幼して父を失った正祖の政治基盤は必ずしも盤石なものではなく、実際このドラマも、正祖が幼い時節、当時の王であった英祖の命により父が絶命するという史実の事件で始まりました。この事件で父は櫃(ひつ)の中に閉じこめられて飢えに死し、正祖はこのとき聞いた父の「聖君になれ」という言葉を胸にしまい、ひたすら王になることを志して生きていくことになります。

その後、政敵らを退けて24歳で王位についた正祖は、後年、父の墓を不運な王都といえる漢城から地方へと移し、そこに城郭都市を建設しました。それが現代の水原市にある華城です。

しかし、当時、漢城から華城へ行くためには川幅の広い漢江をわたって行かなければいけませんでした。正祖は、厚い信頼を置く臣下の丁若鏞(チョン・ヤギョン)の発案により、たくさんの船を横につなげて漢江に浮橋をつくりました。丁若鏞は華城の設計者ともいわれ、その建築工事に彼の才は大きく活かされました。

このドラマは、そんな正祖という人間を描いたドラマであり、劇中には、幼い正祖が生涯の友と呼んだ2人の人物、正祖の政敵といえる多くの宮廷官僚や王妃たち、正祖の政治を心から助けた家臣たちなどとともに物語が進んでいきます。

『イ・サン』は、全77回という大変な長編なので、誰にでもお勧めできるドラマとは言えませんが、韓国の歴史に関心がありこのドラマを観ようとしている方は、こうした史実の内容も知っておけば、ドラマを楽しむのに役立つと思います。



『イ・サン』のあらすじをチョットだけ解説!

以下は、テレビ東京の『イ・サン』の番組紹介です。

サンが11歳のとき、王位継承者であった父は、何者かの陰謀により謀反の濡れ衣を着せられ、サンの祖父である第21代王・英祖(ヨンジョ)(イ・スンジェ)によって死に至らしめられる。父を救えなかった無念、また最後に父が残した「聖君になれ」という言葉を胸に抱き、王位継承者となったサン(イ・ソジン)は、民を大切にする賢君である祖父・英祖から、王としての哲学や手腕を学ぶ。一方で、サンの父を陥れた黒幕とその一派は朝廷内にはびこり、今度はサンの廃位や暗殺を企むのだった。しかし、陰謀や策略が渦巻く中にあっても、幼い頃に友情で結ばれたソンヨン(ハン・ジミン)とテス(イ・ジョンス)、頭脳明晰な側近ホン・グギョン(ハン・サンジン)など周囲の人びとに支えられながら、幾多の困難に立ち向かっていく・・・。

民のための政治を行った英祖の後を継ぎ、社会の弊害を改革しようと果敢に取り組む王へと成長していく姿を、ソンヨンとの切ないロマンスを絡めて描く歴史大作。
韓国ドラマとして初めて本格的に宮廷行事の記録画などを担当した図画署(トファソ)が描かれるのも魅力のひとつ。
https://www.tv-tokyo.co.jp/isan/intro/

このドラマは、主人公であるイ・サン(正祖)が11歳の時から始まります。ドラマの前半は、成人した正祖が王位に就くまでの話です。イ・サンが幼き頃に出会った2人の友に再会し、宮廷の数少ない役人たちに助けられながら、政敵ばかりの宮中で王位に上るまでが描かれます。2人の友は架空の人物ですが、このうちソンヨンは図画署に務める女性の画家として、テスは宮廷の軍人として、窮地に陥る正祖を助けていきます。

ドラマの後半は、前代王である英祖が亡くなり、多くの政敵らを排斥することで、正祖が新しい王としてさまざまな政治を進めていく話になります。正祖が王になるために多大な貢献を果たした側近ホン・グギョンの栄華と失敗が後半の見どころの一つで、そのほか後年の正祖にとって優秀な臣下となるチョン・ヤギョンが登場するのは、ドラマのかなり後の方になってからです。ソンヨンとテスが行く末もかなり重要ですね。



『イ・サン』の登場人物

  • イ・サン(正祖/정조):物語の主人公<演-イ・ソジン>
  • ソン・ソンヨン:正祖が幼いころ出会い、生涯の友となる女性。宮廷記録画を描く図画署に務める。架空の人物<演-ハン・ジミン>
  • パク・テス:正祖が幼いころ出会い、生涯の友となる男性。宮廷護衛官となる。架空の人物<演-イ・ジョンス>
  • ン・グギョン(洪国栄/홍국영):正祖の側近。正祖が王位に上るのに大きな貢献を果たす<演-ハン・サンジン>
  • ヨンジョ(英祖/영조):正祖の祖父で前王<演-イ・スンジェ>
  • チョンスン(貞純/정순)王妃:英祖が66歳の時、15歳で王妃となる。黒幕的存在<演-キム・ヨジン>
  • チョン・フギョム(鄭厚謙/정후견):物語前半の重要人物。英祖の娘・ファワン(和緩)の養子で、正祖の政敵ともいえる存在<演-チョ・ヨヌ>
  • チョン・ヤギョン(丁若鏞/정약용):正祖の厚い信頼を受けた学者<演-ソン・チャンウィ>

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