日本には行政区画として「北海道」が今も残っていますが、現在も韓国の行政区画は道制で、京畿道、忠清北道、忠清南道、慶尚北道、慶尚南道、全羅北道、全羅南道、江原道、済州道という9つの道が存在します。

もともと北朝鮮の地域を含めた朝鮮半島には、李氏朝鮮時代より8つの道がありました。これを「朝鮮八道」と言い、韓国では単に「八道」と呼びます。

今回の記事では、韓国を知るための基本事項ということで、古くからの「朝鮮八道」と韓国の道制の歴史、そして各道の特徴などについて紹介します。




朝鮮時代に制定された「朝鮮八道」と、各道の名前の由来

日本でも古くからの行政区画を「五畿七道」と呼び、江戸時代まで日本全国に7つの道がありました。これに明治2年(1869年)に「北海道」が追加され、現在は独立した地方行政区画として「北海道」のみが残っています。

これに対し、韓国と北朝鮮の領域を含む朝鮮半島全域には、15世紀に行政区画として「朝鮮八道」という8つの道が制定され、その多くは現在まで存在しています。

この中で南の韓国側には、京畿道、忠清道、慶尚道、全羅道、江原道という5つの道があります。このうちの3つの道は行政区画としてさらに2つに分かれて、忠清北道・忠清南道、慶尚北道・慶尚南道、全羅北道・全羅南道と呼ばれています。

以下の表に、古くからの「朝鮮八道」における8つの道をまとめています。各道の名前の由来は、京畿道を除いて、2つの都市名から名付けられたものです。

名称ハングル読み方由来別名
京畿道경기도キョンギド首都圏を意味
忠清道충청도チュンチョンド忠州市と清州市湖西地方
慶尚道경상도キョンサンド慶州市と尚州市嶺南地方
全羅道전라도チョルラド全州市と羅州市湖南地方
江原道강원도カンウォンド江陵市と原州市関東地方
平安道평안도ピョンアンド平壌市と安州市関西地方
黄海道황해도ファンヘド黄州市と海州市海西地方
咸鏡道함경도ハムギョンド咸興市と鏡城郡関北地方


朝鮮八道の地図
팔도



「朝鮮八道」の制定と、その後の道制の歴史

もともと朝鮮半島には、高麗時代(918年〜1392年)に行政区画として十道が設置され、その後、五道両界制に改変されました。

そして現在まで「朝鮮八道」として知られる8つの道は、李氏朝鮮の第3代王・太宗(テジョン)により1413年に設置されたと言われます。

「朝鮮八道」は長く存続し、朝鮮王朝末期の1895年に第26代王・高宗(コジョン)により、いったん八道制は廃止されましたが、その翌年、十三道制として復活しました。8つの道の一部が南北に分割されたため、13の道に増えています。

日本統治時代を経て、1948年に韓国と北朝鮮が建国されたのち、それぞれの国で行政区画の再編や広域市の設置などが行われ、現在、南北に17の道が存在しています。

朝鮮半島の道制の主な歴史

995年、高麗の行政区域として十道を設置
1018年、五道両界制に改変
1392年、李氏朝鮮の建国。その後、北方地域(現北朝鮮の北側)の領土回復
1413年、第3代王・太宗により八道を設置
1895年、第26代王・高宗により八道制の廃止と二十三府制の導入
1896年、二十三府制の廃止と十三道制への再編
1946年、京畿道からソウル特別市が分割、全羅南道から済州道が分離
1949年、北朝鮮にて、黄海道が黄海北道・黄海南道に分割、咸鏡南道から両江道が分割
1954年、北朝鮮にて、平安北道から慈江道が分割(合計で17の道)
2006年、済州道が済州特別自治道に
(参考リンク:wiki「道(行政区画)」)



韓国の各道の特色や性格は?

現在、韓国の行政区画は、9つの道のほか、1つの特別市、6つの広域市からなっています。

京畿道/ソウル特別市+仁川広域市

京畿道(キョンギド/경기도)は、首都圏を意味し、韓国の中心的な地域です。ソウル特別市を取り囲むように京畿道が位置しており、その西側に海に面して仁川広域市があります。

ソウルは李氏朝鮮時代の首都「漢陽」があった場所であり、ソウルと京畿道は歴史的にも重要な地域です。

京畿道は平野部が多く、韓国を代表する河川「漢江」がソウル市内を東西れ横切るように緩やかに流れ、仁川市を経て海に注ぎ込みます。

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忠清道(忠清北道・忠清南道)/世宗特別自治市+大田広域市

忠清道(チュンチョンド)は、京畿道の南側にあって、韓国全域の中央部に位置しています。その名前は忠州(チュンジュ)市清州(チョンジュ)市の名前に由来し、湖西(ホソ)地方とも呼ばれます。

忠清道は東西に長く、その中央に世宗特別自治市大田広域市があります。

忠清道の西側が「忠清南道」で、比較的、平野部が多くなっています。東半分が「忠清北道」であり、朝鮮半島内陸部の山地部に位置します。人口の湖である忠州湖は、ソウルから日帰りも可能な観光スポットとして絶景を楽しむことができます。

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慶尚道(慶尚北道・慶尚南道)/大邱・釜山・蔚山広域市

慶尚道(キョンサンド)は、韓国の南東部に位置し、慶州市尚州市の名前に由来します。嶺南(ヨンナム)地方とも呼ばれます。

慶尚道は南北に長く、北側が「慶尚北道」、南側が「慶尚南道」で、その境に大邱広域市があります。「慶尚南道」には、東側の海に面して主要な都市があり、釜山広域市、蔚山広域市も位置しています。

慶尚道は比較的温暖ですが、山間部が多く、都市部は盆地や狭い平野部に形成されています。方言がきつく、韓国語としてソウルの標準語を学んだ日本人には、聞き取るのが難しかったりします。

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全羅道(全羅北道・全羅南道)/広州広域市

全羅道(チョルラド)は、韓国の南西部に位置し、全州市羅州市の名前に由来します。湖南(ホナム)地方とも呼ばれます。

北側が「全羅北道」、南側が「全羅南道」で、その間に広州広域市があります。西側と南側が海に面し、非常に数多くの島々が散在しています。

気候も比較的穏やかで、西側は平野部も多いですが、東側は山地になっていて、その東端の慶尚道との境界に韓国本土の最高峰である智異山(チリサン)があります。

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江原道

江原道(カンウォンド)は、京畿道の東側にあって、韓国の北東部に位置します。江陵市原州市の名前に由来し、関東(クァンドン)地方とも呼ばれます。

漢江の上流である「北漢江」が流れており、この河を上っていくと、春川市があります。冬のソナタのロケ地として有名ですね。

江原道をさらに東へ行くと、ますます山が険しくなり、山間部は韓国で最も寒い地方として知られています。2018年の冬季五輪は平昌市で開かれましたが、極寒を耐える選手たちの姿が印象に残りました。

さらに山を越えて東の海へ出ると、なだらかな海岸線が続いており、韓国の国内観光客が遊びに行くところとして有名な江陵市、束草市などがあります。

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済州特別自治道

済州道(チェジュド)は、もともとは全羅道にある大きな島でしたが、1946年に独立して1つの道となりました。韓国語で済州島(チェジュド)も同じ発音になります。

この島は、李氏朝鮮時代の流刑地として知られています。現在は、温暖な気候と、豊富な観光資源を活かして、韓国でも有数の観光スポットとなっています。

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