日本人が日の丸の意味を正確に答えることが難しいように、韓国の人たちであっても、韓国の国旗の意味を正確に答えることは容易ではないようです。そこで今回、韓国の国旗について改めて調べてました。
韓国の国旗の意味は?
日本の国旗を「日の丸」と呼ぶように、韓国では韓国の国旗を「太極旗(たいきょくき)」と呼びます。韓国語では「태극기(テグッキ)」と表記・発音します。
国旗というのは、その国の在り方を象徴するものです。したがって、韓国の国旗の意味を知れば、韓国の国の在り方を知ることができそうです。韓国の国旗は5つの図柄からなっていますが、それらは何を意味するのでしょうか。
大韓民国の国旗「太極旗」
まず、真ん中にある赤と青の二色の円は、中国の易の思想における概念で太極を表し、太極円と呼ばれます。その円の図柄は陰(青の部分)と陽(赤の部分)が柔らかな曲線で向かい合い、陰陽の調和を表していると言われます。そして太極は、宇宙の神羅万象の根源であるとともに、人間の生命の源泉としての真理である人道を表現したものであるとされます。
太極円の周りに配置されているのは、左上から時計回りに乾・坎・坤・離という四卦を表した4つの図柄です。易の思想では、太極から両儀(陰陽)➡四象➡八卦が生成し発展するものとされ、この考え方は自然界の神羅万象を説明するものとして朱子学や道教で重視されてきました。太極旗には八卦のうち四卦のみを配置し、それらの図柄は、「- -」が陰を「---」が陽を意味していて、陰陽を組み合わせたものとなっています。以下に四卦の意味を示します。
- 乾(左上)は「天」道として至善・至公の正義を意味する
- 坎(右上)は「水」性として知恵と活力を示する
- 坤(右下)は「地」道として厚徳と豊饒の共利を象徴する
- 離(左下)は「火」性として光明と情熱を意味する
太極旗の白地にも意味があります。白は朝鮮民族が白衣民族と言われるように民族が好む色とされ、白地は朝鮮民族の民族性を表すとされます。その意味は明るさ、純粋さ、平和などです。
朝鮮王の御旗「太極八卦図」
韓国の国旗のデザインの意味を考える上で、李氏朝鮮時代(1392年〜1910年)に用いられた朝鮮王の御旗「太極八卦図」を紹介します。この旗は、朝鮮王の象徴として、王宮内で限定的に用いられたとのことです。
<朝鮮王の御旗「太極八卦図」
朝鮮王を象徴する太極八卦図のデザインも太極と八卦を用いており、これは現在の太極旗と共通しています。ただし、太極八卦図に比べると現在の太極旗のデザインには、赤・青・白の配色と、八卦に変えて四卦が用いられており、太極旗のデザインや色合いの方がシンプルで洗練されているように見えます。
太極・八卦という李氏朝鮮時代に大切にされてきた思想を、現代の韓国の国旗に用いているというのは、非常に興味深い事実であると言えます。
太極旗の歴史
それでは、太極旗のデザインはどのような経緯で確定したのでしょうか。
李氏朝鮮時代において、上記の太極八卦図は朝鮮王の御旗であって、1875年の時点でも李氏朝鮮の国旗は存在していませんでした。このため、1880年代に李氏朝鮮では国旗制定の問題が検討されました。
李氏朝鮮時代において、上記の太極八卦図は朝鮮王の御旗であって、1875年の時点でも李氏朝鮮の国旗は存在していませんでした。このため、1880年代に李氏朝鮮では国旗制定の問題が検討されました。
国旗のデザインを決めるのにいくらかの変遷がありしたが、赤・青・白の配色と四卦を用いた太極旗の基本的デザインが確定したのは1882年頃であるといわれます。その後、1883年3月6日に朝鮮国の国旗として公布されました。ただし、国旗の正式な形を定める法律は特になかったため、図柄の配置などが統一されずに陰陽や四卦の位置は旗によってバラバラでした。
太極旗の一例(1882年?)>
その後、日本統治時代(1910〜1945年)には、太極旗は朝鮮独立運動などにおいて朝鮮民族を象徴する旗として認知され、大韓民国の成立後、1949年10月15日に韓国の国旗として法令でデザインが確定しました。
参照リンク
なお、太極旗について詳しく知りたい方は、以下のリンクも参照されたい。



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