現在、日本で公開中の映画『パラサイト 半地下の家族』が米国アカデミー賞の作品賞、国際長編映画賞、脚本賞、監督賞という4つの賞を受賞しました。これは大変な快挙です。

思い起こせば、私が初めて観た韓国映画は『八月のクリスマス』(1998年)でした。日本では1999年に公開され、私はビデオをレンタルしてきて家で観たことが思い出されます。

ポン・ジュノ監督の作品としては、私は『殺人の追憶』(2003年)と『グエムル-漢江の怪物-』(2006年)も観たことがあります。今回、ポン・ジュノ監督について調べたことを、私の主観を交えてレポートしたいと思います。

個人的には、この機会に、ほかの作品も観てみようかと思っています。

ポン・ジュノ監督の略歴


本名はポン・ジュノ(봉준호)。韓国の映画監督、脚本家。

1969年9月14日に、二男二女の末っ子として生まれた。この世代は韓国の民主化運動を担った、いわゆる386世代であるとされる。

出身は、韓国の南東部に位置する慶尚北道大邱市(現・大邱広域市)。韓国の”第3番目”の都市で生まれたということになる。

母方の祖父は小説家の朴泰遠(1910-1986)。イデオロギーより芸術としての文学を追い求めた作家とのことだが、1950年の朝鮮戦争勃発後に、北朝鮮に渡っていった越北作家として知られている。したがって、ポン・ジュノ監督とは会ったことがないと思われるが、その文学作家の血を引いているというのは大変興味深い。


父は美大の大学教授であり、国立映画製作所の美術室長という立場であったとのことだ。

小学3年生のときに大邱からソウルに移り住み、小説家、芸術、映画、デザイナーといった家系の雰囲気の中で、”それなりに”裕福に育ったようである。

決してトンビがタカを産んだわけではなく、サラブレッドの家系でポン・ジュノという世界的映画監督が生まれたと言えるかもしれない。


ポンジュノ監督の代表作を振り返ってみる


ポン・ジュノ監督は、延世大学校社会学科を卒業後、韓国映画アカデミーに入学した。

延世大学在籍時に、初監督作品である『白色人』(1993年)という短編映画を製作した。さらにアカデミーでは、『支離滅裂』『フレームの中の記憶』(ともに1994年)という短編映画を製作し、これらはバンクーバー国際映画祭と香港国際映画祭に招待され注目を集めたとのことだから、当初から映画監督として極めて優秀であったのであろう。

その後、初の長編映画監督として『フランダースの犬』(邦題『ほえる犬は噛まない』) (2000年)を製作した。この映画は、飼い犬連続失踪事件をコメディ調で描いた作品とのことであり、ポン・ジュノ監督がコメディという要素を当初から大切にしていたということを垣間見ることができる。

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続く『殺人の追憶』(2003年)は、韓国で実際に起こった未解決連続殺人事件に基づく作品であり、韓国内で大ヒットを記録し、ポン・ジュノ監督の出世作といえる。この映画では、殺人事件作品においてありがちな犯人を捕まえるということよりも、その事件を取り囲む社会像を描いていると言われる。犯人を捕まえずに余韻をもって映画を終わらせており、こうした人間像や社会の描き方はポン・ジュノ監督の魅力であると思われる。

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『グエムル-漢江の怪物-』(2006年)は、グロテスクな黒い巨大生物が漢江を舞台にして人を襲うストーリであった。コンピューターグラフィックをふんだんに取り入れて未知の生物を臨場感を持って映像で表現した意欲作であるといえる。当時、韓国の最多観客動員記録を更新し、アジア・フィルム・アワード作品賞なども受賞した。漢江という現代韓国の成功を象徴する場所に、おぞましい怪物を登場させた社会的描写が印象に残る作品といえる。

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『母なる証明』(2009年)では、またもや殺人事件を題材に、その事件の容疑者とされた息子の無実を晴らそうと真犯人を追い奔走する母親の姿を描いている。カンヌ国際映画祭の「ある視点」部門に正式出品されたとのことだ。ごく日常的にいそうな人間を主人公にしながら、非日常的な極限状況へと追い込んでいくことを、ポン・ジュノ監督は好むとのことである。そうした人間の極限状態での喜怒哀楽の描写、それはポンジュノ監督の映画作品に共通し、『パラサイト 半地下の家族』にも受け継がれているようである。

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そのほかにも、ハリウッド進出を果たした『スノーピアサー』(2013年)、Netflix製作のSF作品として注目を集めた『オクジャ』(2017年) などもあるが、詳しい説明は省略する。

そして『パラサイト 半地下の家族』(2019年)が公開されることになる。この作品は、全員失業中の貧しい一家が徐々に裕福な家庭に入り込み、寄生していくさまを描く物語である。

まだ観ていない方は、ぜひ映画館に足を運んで観ていただきたい。



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